岡山教会パイプオルガンオーバーホール
今年の3月14日~3月25日、5月13日~5月28日の2期間において、国内
のオルガン工房様により念願のオーバーホールが行われました。
岡山教会のオルガンは1964年に製作されたドイツのボッシュ社の楽器で、岡山
教会が今の聖堂に建て替わった折に、日本基督教団富士見町教会から移設されまし
た。
まだ日本でパイプオルガンの導入が珍しかった時代に富士見町教会に設置された、
日本においての歴史的楽器であると言っても良いでしょう。
さて、パイプオルガンのオーバーホールとは、オルガンを分解し、日頃のメンテ
ナンスだけでは行えない、パイプやオルガン内部にあるメカニック部分の修復、パ
イプ1本1本のクリーニングなどを行うことです。
このオルガンには約1000本ものパイプが使われています。その音を出すために
表からは見えない所に色々な仕掛け(メカニック)がある訳ですが、この度のオー
バーホールで、パイプとそれらの仕掛けを取り外し、長年の汚れや埃の除去や修理・
調整、また一番大切な部分、人間で言う肺に当たる「吹子(ふいご)」の修復など
が行われました。
それらの作業を経て、全てが元の位置に戻され、最後に整音と調律が行われます。
調律とはご存知の方も多いと思いますが、各音の高さを決めてバランスを整える
作業ですが、では整音とは?
例えば、10人で一つの曲を歌う時に、それぞれが好き勝手に自己主張して大きな
声や小さい声、明るい声や暗い声で歌うと、そのバランスはきっと聴く人には心地
良くないでしょう。
それと同じで、整音されていないオルガンは1本1本のパイプが自己主張し合い、
チグハグな音量や音質で鳴って、まとまりの無い音が出てくる訳です。それらの
チグハグをバランス良く整え直すのが整音という作業です。
こうして、整音・調律の作業を終えて、再び明瞭でまとまりのある音の出るオルガ
ンに生き返りました。
電子楽器は電化製品と同じで何年か経つと部品がなくなり、修理が出来なくなりま
すが、本物のパイプオルガンは定期的にきちんとメンテナンスをすれば半永久的に
残ります。
これからこのオルガンで1日でも長く、美しい音で讃美を捧げられる様守っていか
なければならないと思います。
今回オーバーホールを行ってくださったオルガン工房のスタッフの皆さん、そして
岡山教会、及び皆様の善意によってこのオーバーホールが実現したことに心から感
謝を捧げます。
尚、オーバーホールを記念して、今年10月27日(日)にパイプオルガンコンサー
トを予定しております。またあらためてご案内させて頂きます。
岡山教会 Y.M